大腸がんの治療について

大腸がんの治療についてお話ししたいと思います。 

1.内視鏡治療 (内視鏡的粘膜切除術、内視鏡的粘膜下層剥離術) 

治療適応は、がんが粘膜もしくは粘膜下層の浅いところにとどまっているものです。粘膜下層の深いところまで及んでしまうとリンパ節転移の可能性が高くなるので適応外となります(内視鏡ではリンパ節は切除できません)。

2.手術 (開腹手術、腹腔鏡下手術、ロボット支援手術)

原発巣、遠隔転移巣ともに、切除可能な場合は手術が勧められます。がんの周囲にあるリンパ節を同時に切除します。がんを切除できない場合には、便が流れるようにするため、バイパス手術(人工肛門造設など)や内視鏡を用いたステント治療(金属製の筒状の網を狭窄部に挿入する)を行うことがあります。

3.化学療法(抗がん剤)

手術後の再発を防ぎ予後を改善する目的で行う場合と、手術によりがんを取りきることが難しい時(再発など)に行う場合があります。化学療法のみで完治することは難しいですが、痛みなどの症状が緩和することによりクオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)が向上することや、生存期間が延長することが分かっています。

4.放射線療法

主に直腸に発生したがんにおいて、手術前にがんのサイズを縮小したり、治癒率の向上や肛門を温存する目的、あるいは再発予防のために、放射線による治療が行われることがあります。また、切除が難しいがんによる痛みや出血、便通障害などの症状を緩和する目的や、骨転移による痛み、脳転移による神経症状などを改善する目的で行われることもあります。

⒌緩和ケア

患者さんのクオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を良くするためのケアのことです。手術や化学療法を行う場合には、痛みなどの症状が緩和された状態で行うため、早い段階から緩和ケアが行われます。

当院では主に内視鏡治療と緩和ケアをおこなっています。内視鏡治療はがんに対してだけでなく、大腸がんの原因となるポリープに対しての治療を積極的に行っています。

次回は大腸ポリープについて詳しくお話ししたいと思います。

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