帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水ぼうそうのウイルスが原因で起こる病気です。子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスは、治ったあとも神経の奥にじっと潜んでいます。加齢やストレス、病気などで免疫力が下がったときに、ウイルスが再び活動を始めて、帯状疱疹として現れます。帯状疱疹は近年増加傾向にあり、80歳までに約3人に1人が発症すると言われています。
【症状】
初めは皮膚に違和感やピリピリする痛みが出て、その後赤い発疹や水ぶくれが体の片側に帯状に現れます。多くは胸や背中、顔などに出ます。痛みの程度は個人差がありますが、服が当たっただけでも痛かったり、眠れないほど痛いという方もいます。また、治療が遅れると、「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる長引く痛みが残ることがあり、高齢者では特に注意が必要です。
【治療】
帯状疱疹は「水痘帯状疱疹ウイルス」によって起こるので、ウイルスの増殖を止めるため抗ウイルス薬を投与します(内服や点滴を1週間)
抗ウイルス薬:アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナメビル
※ 抗ウイルス薬は発症後早期(72時間以内)に飲み始めるのが最も効果的とされています。
初期の痛みに対しては、かぜなどでも使用する鎮痛薬で対処しますが、長引く痛み(帯状疱疹後神経痛)に対しては神経障害性疼痛に用いる内服薬を使用します
鎮痛薬:アセトアミノフェン、プレガバリン、ミロガバリン
内服で痛みが改善しない時は、ペインクリニックで神経ブロックを行うことがあります
【予防】
帯状疱疹はワクチンで予防することができます。50歳以上が対象となり、現在日本では2種類のワクチンがあります。
① 生ワクチン
- 1回接種で済む
- 効果はおおよそ5年程度で、予防効果は40-60%
- 価格:約7,000〜10,000円
② 不活化ワクチン
- 2回接種が必要(2か月間隔)
- 効果は10年以上とも言われ、予防効果が約90%と高い
- 価格:1回約20,000〜25,000円(2回で約40,000〜50,000円)
ワクチンを接種することによって帯状疱疹を予防できることが確認されています。また、発症しても重症化や神経痛のリスクを下げるといわれています
令和7年4月から帯状疱疹の予防接種が定期接種として実施されることとなり、下記のように対象となる方が予防接種を受けることができます
定期接種の対象:① 年度内に65歳を迎える方、② 60~64歳でヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能障害があり、日常生活がほとんど不可能な方
(5年間の経過措置として、その年度に70、75、80、85、90、95、100歳になる方)
自己負担額は、生ワクチン:2500円、不活化ワクチン:1回につき6500円 となっています
お住いの自治体から通知が届いたら、お近くの医療機関を受診して予防接種を受けてください
当院でもワクチンの定期接種をしていますので、希望される方は電話で予約を受け付けています
(玖珠記念病院 0973-72-1127)
【まとめ】
帯状疱疹は、誰にでも起こりうる身近な病気で、夏に発症しやすいと言われています。痛みが長引くことがあるため(帯状疱疹後神経痛)、発症後すぐに適切な治療を受けることが大切です。特に高齢になるほど発症リスクや神経痛のリスクが高まります。ワクチンによって高い確率で予防できる病気ですので、定期接種の対象となる方は医療機関で相談してみてください